Episode16〜「愛」という感情が人を苦しめるのは何故か?
ども、
ハルです。
上の画像は、僕が山梨に移住してまだ独身だった時代に通っていた恵林寺の黒門です。この門に有名な「心頭滅却すれば火もまた自ずから涼し」と書かれた額が掛けてあります。
伝統宗教の優れているところは「場所の力」があることです。こういう場所に三年通えば、やはり、心は変化しますね。
通うのにお金はかからないし、「来る者拒まず去る者追わず」なので、通いたければいつまでも通っていいし、行きたくなければ行かなくてもいい。「信心を怠るとバチが当たる」などとは絶対に言いません。
Episode3とEpisode12で、仏教を学んだ事について、少し触れました。
僕はそれ以来、物事を、仏教的視点から眺め、考える癖がつきました。
前回は「イネイブリング」について、書いています。
https://halnoyamanashi.hatenadiary.jp/entry/2019/02/18/044929
イネイブリングという言葉は、まだ世間で知っている人は少ないですが、その概念は昔から仏教の教えの中でよく言われていた事です。
仏教では、愛は苦しみの原因になるために退けなければならない感情とされています。
「愛が苦しみの原因になる」とは、一見奇妙な言い方に思えますが、この実例は、誰でもよく見聞きしているし、実際に、我が身で経験している人は多いはずです。
たびたび例に出して申し訳ないと思いますが、女優の三田佳子さんの次男に対する感情は、まぎれもない「愛」です。これは疑いようがありません。けれど、この母子の不幸は明らかに三田さんの「子に対する愛」が原因です。
https://president.jp/articles/-/26556?display=b
DV
ストーカー行為
子どもの虐待
…それらの不幸の源にも「愛」があります。
愛という「尊い感情」と思われているものが、何故、不幸の原因になってしまうのか?
「愛」という感情は、簡単に「憎」という感情に変化してしまいます。
愛とは「執着する気持ち」でもあります。
執着する対象が「自分の思い通りにならない」とき、愛という感情は、たちまち「憎しみ」に変化します。
子供が遊んでいるところを見ていると、これはすぐに納得できるでしょう。ついさっきまで仲良く遊んでいた子らが、すぐに喧嘩を始めてしまう。仲がいいのか悪いのかよくわからない。いや仲がいいんです。お互いに愛しあっているんです。愛があるから憎しみの感情が生まれる。どちらも同根、コインの裏表です。
だから「愛」という感情とは「ほどほどに付き合え」と仏教では教えています。
人間は愛という感情を完全に手放すことは出来ません。
その感情をコントロールする術を知らずに、その感情に飲み込まれてしまうと、愛ゆえに苦しみが生まれ、苦しみが続くことになります。
愛をコントロール出来ずに、結果的に、自分や自分の周りの人間を苦しめる原因を作っている人を、現代ではイネイブラーと呼んでいるわけです。
家族に対する
思いやり
世話焼き
優しさ
尽くす気持ち
愛
これら、よかれと思って家族に与えているものが、事態を改善させるどころか、まったく逆効果になっている。それに気づかずに、不幸になるための原因をせっせと作り出している。
自分は良いことをしている、と信じているから、不幸になる努力をやめることができない。
そういう進み行きは、昔からあったし、今もあるし、人間が存在し続けるかぎり、無くならないでしょう。
大昔からある、人間の普遍的な苦しみは、決して無くなることはありません。
けれど、普遍的な苦しみは、大昔から続いているだけに、解決方法も決まっているんです。
愛している対象を捨てる 。
または、
愛している対象から離れる。
これ以外の解決方法はありません。
上の三田親子の例で言えば、事態がここまで来ると、物理的に「母と子は、金輪際、絶対に会わない」という以外に、不幸の連鎖を断ち切る方法はありません。
重度のアルコール依存症になってしまったら、「金輪際、絶対に酒を飲まない」という選択肢以外に解決方法がないのと同じです。
アルコール依存は、断酒を続ける以外に解決方法はありません。
「酒量を減らしてアル中を治そう」
とか、
「少し改善したから、酒を飲んでもいいや」
は、あり得ません。
愛ゆえに苦しみ、不幸になってしまう(不幸にさせてしまう)人間は、愛する対象を断ち切る以外に、不幸の連鎖を止めることは出来ないんです。
僕は「金輪際、東京の家族(父、母、妹、弟)とは会わない」と決めました。
東京の実家が荒れてしまったのは、弟の言う通り、僕が原因なのかもしれない。
なるほど、それを認めることにしよう。
僕の中にも「家族に対する愛の感情」が強くある。それが行き過ぎて、こんなことになってしまったのかも知れない。
よし、それも認めよう。
苦しんでいる原因は、他でもない、自分の心の中にある。
分かった、それも認めることにしようじゃないか。
だとしたら、やはり、僕のすべきことは、「東京の家と一切関わりを持ってはいけない」ということだ。
僕は今、そういう結論に至っています。
仏教的視点からいっても、「それしかない」のです。
仏教では、出家する際に、
名誉
地位
財産
そして
家族
一切を捨てねばならない、とされています。
何故か?
それに執着しているからです。
執着は不幸の元となる。
執着しているものを捨てると、その分だけ、心の苦しみが減る
とされています。
この「普遍的な人間の心理」を応用したビジネスで、大成功を収めた人がいます。
「こんまり」こと近藤麻理恵さんです。
「人生がときめく片づけの魔法」
とは、お釈迦様が二千年以上前に
「執着するものを捨てると、心の苦しみが減る」
と説いた教え、そのものです。
実際に近藤麻理恵さんの「お片づけ術」を実践すると、本当に、魔法のように心が軽くなり、至福の感覚がおとずれるそうです。
その通りになる人がとても多いから、彼女は教組的に持て囃されています。僕の視点からすると、仏教の教えそのものなので、当然だと思っています。
僕の妻はこんまりさんと同業者。「整理収納アドバイザー」という仕事をしています。
それについては次回に書きます。
今回はこの辺で❗️
ここまでお読みくださり、ありがとうございます😊
Episode16~END~
To be continued