Episode15〜イネイブリングという家族崩壊への道
ども、
ハルです。
今日は紅葉台に行き、素晴らしい富士の眺めを堪能しました。久しぶりに心が晴れました。
さて、
このブログをはじめてから、少しずつ、実生活ではたぶん知り合うことがなかったであろう人たちと、繋がりはじめています。
毒親、DV、アダルトチルドレン、機能不全家族…こういう問題を抱える人は、それを恥と考えてしまうために、実生活では、周りの人に自分の悩み、苦しみをなかなか打ち明けることが出来ません。
Episode3では脱宗教団体について書きました。
この問題も「周りに打ち明けられない」ということがあり、誰にも言えず悶々とひとりで悩みを抱える、ということが続いてしまいます。
僕は、ネットがあったおかげで、この同じ問題を抱える人たちと繋がることが出来て、救われました。
「脱教団なんて絶対にできないだろう」と僕は思い込んでいました。正確に言うと、「教団をやめる」という選択肢があることさえ思い浮かばなかった。
現実に僕が教団をやめることが出来たのは、同じ悩み・苦しみを抱えている人がいることを知り、その悩み・苦しみから脱することは可能だ、ということを教えてもらったからです。
いま、脱毒親に真剣に取り組み始めて、かつてと同じように、同じ問題を抱える人たちと繋がり始めて、かつてと同じように、学び、教えられ、光が見え始めています。
繋がらせていただいた方たちに、本当に、感謝いたします。
はてなブログを始めた時から読者になっているk77703230418さんのブログ『アルコール依存症 回復へ』を読んでいると、イネイブリングという言葉がしばしば出てきます。
僕はこの言葉に、非常に引きつけられました。
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【アルコール依存症 世話を焼いていませんか? イネイブリング(1)】
https://k77703230418.hatenablog.com/entry/2018/12/27/134312
【アルコール依存症の家族にとって家族教室は救いの第一歩】
https://k77703230418.hatenablog.com/entry/2019/02/15/123730
イネイブリング/イネイブラーという言葉は、このk77703230418さんのブログで初めて知りました。主にアルコール依存症において、この言葉が使われているようです。
僕の家族にアルコール依存症はいませんが、イネイブリングの具体的な実態には思いあたる節があります。
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〈参考リンク〉
【「イネイブリング/イネイブラー」とは?】
https://www.just.or.jp/?terminology=000770
【"甘えの連鎖"に墜ちた三田親子の精神構造
依存症を助長"イネイブラー"の母】
https://president.jp/articles/-/26556?display=b
【なぜDV(暴力・モラハラ)を振るわれても別れられない(逃げられない)のか?どういう心理?精神状態は?】
https://naoemon.com/blog-entry-11-html/
【イネイブラーの本当の顔】
http://www.yakkaren.com/bigina.b/ineburanohontounokao.html
【イネイブラーになってはいけない】
https://alcoholism.nerim.info/family.html
Episode5で書きましたが、幼い僕が父に酷い暴力を振るわれて泣いていたとき、母に、
「お父さんはああいう人だからしようがない。お前が大人になって、乗り越えなさい」
と言われたことは、今でも鮮明に覚えています。
母は、父がキレて荒れるたびに、僕ら子どもたちに「抵抗してはいけない」と厳しく諌め、「お父さんがああなったときは、お父さんのやりたいようにやらせてあげるの」と言っていました。
そういう母の態度に、僕は子どもの頃から納得がいきませんでした。
けれど、母は一方で、とても家族思いで、世話好きで、優しく善良な「良い母親」でもありました。
良い母親(と子供たちは信じていました)がそういうのだから、僕と妹と弟、三人は皆、それに従っていました。
優しさ。
それは、僕たち家族に共通する特質です。家では人が違ったように暴力を振るう父も、外から見ると「大人しく優しい善良な父親」でした。
僕はもう2年以上、実家の父母との関係を絶っています。
けれどいまだに80歳を超えた父の暴力は止みません。
所帯を持って既に家を出た弟は、父が荒れるたびに実家に行き、「父をなだめて、事をおさめる」ということをしています。優しい性質の弟は、そうせざるを得ないらしい。
僕は「それは逆効果だからやめた方がいい」と弟に何度か言ったことがあります。弟は「俺は自分の家族(弟の妻と息子)を守るためにこうしているんだ」という理屈で、それを続けました。
結果的に、弟が「なだめる・事をおさめる」ということを始めてから、父の暴力の頻度は増えてしまっています。
「事をおさめる」のは、事を起こした本人がするべきことで、所帯を持って家を出た弟が、わざわざ実家に帰って「事をおさめる」ことはしなくていい、いやすべきでない、と僕は思っています。
昨年の1月ごろ、(父母と同居している)妹が入院した際に、父が荒れて、母は家を出て弟の家に逃げ込んだことがありました。
ひとり、家に残された父は、僕の携帯に電話してきて、逆上した声で、こんなことを叫んでいました。
「妹もお母さんも居なくなった!俺はいま家でひとりだ!おまえは今すぐここに来い!俺を助けろ!子が親を助けるのは当然だ!おまえは長男なんだからな!」
僕は、
「申し訳ないけどお父さん、僕はあんたを殺したいほど憎んでいる。行かないよ。」
とだけ言いました。
父は電話をガチャ切りしました。
僕が子供だったころから、
父は理不尽な理由で暴力を振るい、僕が逆らうと、
「そんなに親が気にいらないなら、この家を出ていけ!」
とよく言い放ったものです。
僕が実家を出て山梨に移住したのは、その言葉通りにしたまでです。
まだ自立出来ない子供に「親が気にいらないなら出て行け」と繰り返し言い放ちながら、長男が家を出て、妹と母が居なくなって、独りになると、「戻ってこい」という身勝手さ。
僕は、父が電話をガチャ切りした後、過去の記憶が次々に溢れるように蘇り、怒りと悔しさで、眠れない夜が約1か月続きました。
一睡も出来ず明け方になったある朝、僕は「今すぐ実家に行って父を殺そう」と本気で考えました。
けれど殺す前に、この気持ちを本人に伝えておこう、と思いました。
まだ僕の妻と息子が寝静まっている早朝に床を出て「あんたの暴力に僕は苦しんだ。謝れ、謝らなければ殺す」と便箋に殴り書きして、封筒に入れ、切手を貼って、ただちに家の近くのポストに投函しました。
その手紙を受け取った父は、更に逆上したそうです。
弟は、事をおさめるべく、実家に直行し、父をなだめた、との事です。
弟にしてみると、この顛末は、事を荒だてた兄のせい、ということになっています。
弟は僕にこう言いました。「もう余計なことをして、事を荒だてないくれ」。
つまり、我が実家の暗黙の「家訓」はこうです。
父が暴力を振るうのは、いかに理不尽な理由であっても致し方ない。父の理不尽な暴力をあまんじて受けとめるのが「大人」のふるまいなのだ。父に抵抗し、父を逆上させたら、逆上させた側に罪がある。
僕はこの「家訓」に従わないから、弟から非難されるわけです。
僕は、本当にこの家族には一切関わらないことにしよう、と決めました。
妹と弟には、
「父と母のどちらが死んでも連絡をしなくていい。葬式にも出ない。そちらにすべて任せる。遺産は放棄するので、二等分して二人で分けてくれ」
と伝えました。
それから一年近く、妹からも弟からも、父母からも、何の連絡もなく、時がすぎました。
昨年の年末、妹から久しぶりにメールがありました。
「父は相変わらず荒れている。父も母もアルツハイマーの症状が出始めて、ブレーキが効かなくなり、誰の言う事(医者の言う事)も聞かない。弟は、弟の妻が病気で入院したために、家にきて〈なだめる〉ことが出来なくなった。私は気が狂いそうだ。助けてほしい。」
おおむね、こんな内容です。
僕は妹には、以前から、
「父と母が手におえなくなったら施設に入れるように。父と母に関わりすぎると心を病んでしまう。まず自分の心を守ることを第一に考えろ」
と言っていました。
ところが、独身の妹は「父と母から離れられない。この実家から離れられない」という返答を繰り返すだけでした。
僕は、
「俺が親を殺したいほど憎んでいる気持ちは今も変わらない。おまえが父と母と離れる決心をするなら手助けは出来るけれど、父と母と離れられないなら何もできない」
と答えました。
妹から来た返信はこうです。
「お兄ちゃんは勝手だ。お兄ちゃんが親を捨てて山梨で暮らせるのは、私と弟が親の面倒を見ているからだ。お兄ちゃんは現実から目を背けている。現実と向き合っているのは私たちだ」
その、僕への怒りと怨嗟に満ちた妹のメールに、僕は返信していません。
(ここまで読んだ人は「メールでなく、兄妹どうしなんだから、なぜ直接言葉をかわして話をしないんだ」と思うかも知れませんね。
僕は「話があるならメールじゃなく電話しろ」と妹のメールに何度も返信しましたが、一度だけかかってきた妹からの電話では「もういい、何もしなくていい」との事でした。)
僕は妹の期待に応えることが出来ない兄らしい。
さて、ここまでくると、
我が実家が壊れつつある(もう既に壊れているのかも知れないけれど)のは、不適切な世話焼き、思いやり、優しさ=イネイブリングが原因だろう、と僕は思っています。
家族であっても距離の取り方を間違えて、不適切な世話焼き、思いやり、優しさを与え続けると、結果的には、家族崩壊への道を突き進んでしまいます。
当事者は「私はこんなに家族に尽くしている。物事を改善させるためにこんなに努力している」と思いこんでいて、表面的には善行に見えるのだけれど、何故か、事態は悪い方へ悪い方へつき進んでゆく。
自らの行為がイネイブリングという悪因になっていることに気づかないと、知らず知らず、不幸になる努力を一生懸命にせっせと続けることになります。
今回は、ちょっと長くなりました。この辺で終わりにいたします。
では、また❗️
ここまでお読みくださり、ありがとうございます😊
Episode15~END~
To be continued